初めてビールを作った話(シエラネバダ ペールエール クローン)
どうも。
外出を最小限にした結果として毎週末はビールを飲みまくり、飲みながら友人とオンラインどうでもいい話をしているうちにビールを自分で作ってみたくなり急ピッチで機材を集めて1バッチ目を製造し今に至る。イントロから疾走感がある話。
現在はビールの瓶詰めが完了し、炭酸の付与中。2,3週間後から飲み始めることが出来そうなので次の週末には2バッチ目を作り始めようと目論んでいるわけで、備忘録的な感じで"はじめてのびーるづくり"の反省点などを残しておく。
せっかくの初回なので機材集めも含め少し詳しく纏めておきたいと思う。
なお私はドイツ在住のため問題ないが、日本でレシピを参考にする場合は初期比重が小さくなるようウォートを水で薄める等のアレンジをしてアルコール度数を1%以下に抑える必要があるので注意。
機材集め
ビールづくりと一言で言っても方法が幾つかあり、大胆にもその中で一番難易度が高い方法であるフルマッシングで仕込むことにした。マッシングとはモルト(麦芽)の糖化工程を指し、これを自分でやる。上手くいけば非常に美味しいビールができるとのこと。
マッシングは1つの鍋で完結するBIAB(Brew In A Bag)という方法で行う。簡単に言うと不織布バッグに麦芽を入れて糖化、ウォート(麦汁)が抽出されたらバッグごと麦芽を取り出すというスタイル。オーストラリアのホームブリュワーが編み出したらしい。
マッシングは通常2つの鍋を用いて行うため、1つの鍋で完結できることは非常に魅力的。
各マッシング方法で糖を取り出す効率が異なり、BIABでの効率がどうこうなんて議論もされているようだが、とにかく1つの鍋でビールが作れるという手軽さを第一に取る。
ということで用意した機材は以下。
トータル250€程度だっただろうか。
- 大鍋25L (仕込むビールの量の2倍+αを目安にした。)
- 不織布バッグ
- 発酵容器 (エアーロック付き)
- サイフォンチューブ
- 計器類(温度計、糖度計)
- 500mlの空き瓶×10
大鍋はアメリカのSS brewtechの製品が良さそうだったが私が商品を探し始めた通販サイトで売っておらずスルー。改めて見てみると内側に細かく目盛りが振ってあったりとやっぱり使い勝手が良さそう。
私はklarsteinというドイツ製のマッシング用大鍋を選んだのだが(写真は後ほど)、普通の大鍋を使えばもっと安上がりで準備できるはず。
レシピおよびスケジュール
記念すべき1バッチ目に作るのはSierra Nevada ペールエール のクローン。ちょうど友人と話題にしていたビールを模したもの(いわゆるクローン)が、機材を購入した通販サイトにセットで売られていたので即決。20L分の原料が届いたが半分の10Lずつ作ることにした。
ということでバッチサイズは10L。
ただし澱とともに捨てる分があるため最終的に8L程度になると思われる。
- 水:14L
→マッシング用とスパージング用は合わせた。 - モルト 2.1 kg
(ペールエールモルト:92%、カラメルモルト:8%) - ホップなど ※カッコ内はアルファ酸値、時間は沸騰後から。
Magnum(15%):2.9g - 10分
Perle(10%):2.9g - 40分
アイリッシュモス:3gぐらい - 40分
Cascade(6.5%):5.85g - 60分
Cascade(6.5%):16.7g - 火を止めて20分後 - イースト:US-05
- 糖度のターゲット:15°Plato
さて実際の工程に移る。
なお各機材は酸素系漂白剤やアルコール消毒液をふんだんに使って殺菌し、雑菌が混入しないように細心の注意を払う。雑菌が入ると酸っぱいビールが出来上がったりするらしい。その一方で「ホームブルーイングなんて大らかなアメリカのオッサンが庭先でやるような趣味でもあるので何とかなる(意訳)」のような言葉を見かけて、必要以上にビビるのをやめた。
マッシング
- 水を60℃まで上げ、麦芽を投入。
ここでは鍋にバッグを掛けており、そこに麦芽が入る形。 - 67℃まで上げ、火を止めて60分置く。ここで麦芽を糖化。
20分ごとに少しかき混ぜた。思ったより温度は下がらないんだね。 - 78℃まで上げ、さらに20分置く。
マッシュアウトと言って、糖化の酵素を失活させる。
この後バッグごと麦芽を取り出してよく絞り、ボウルに置く。お湯から出したらすぐに酸化が始まるため注意とどこかで読んだ。
このバッグをさらに水に浸けて糖を取り出すスパージング工程は行わなかったので、レシピ記載のスパージング用の水の分量はマッシング用の水に加えた。
煮込み
マッシングで取り出した麦汁(ウォート)を狙った比重になるまで煮詰める。その最中にホップを投入し苦味や香りを加える。
- ウォートを70分間沸騰させる
ホップ投入のスケジュールは上述。 - 火を止めて蓋をして20分置く。
- 最後のホップを投入後、かき混ぜてさらに20分置く。
そして保冷剤等をぶち込んだバスタブに鍋を突っ込んで急冷。急冷することで雑菌の繁殖を防ぐとのこと。
初期比重(OG):1.043
糖度:10.7°Plato
どちらも温度補正をし15°C時の値とする。
気づき:ホップの香りには抗えない。
一次発酵
発酵容器に移し替えてイーストを投入。20℃前後に保ち2週間寝かす。
実際は7~12日目あたりは25~27°Cで推移してしまった。
二次発酵
瓶詰めし500mlのビールに対して2.5gのグラニュー糖を投入。
一次発酵時では放出されていた二酸化炭素を、密閉することでビールに溶け込ませる。
炭酸飲料向けのペットボトルにも詰めたので、ペットボトルがパンパンになってこれば炭酸が入っていることがわかるはず。
保冷バッグに保冷剤と一緒に入れておきペットボトルの様子を見つつ2週間以上寝かせる。
最終比重(FG):1.005
糖度:1.65°Plato
初期比重1.043、最終比重1.005からアルコール度数を計算すると;
(1.043-1.005)*0.131*1000 = 4.98%
※比重 0.001の変化に対してアルコール度数が0.131%変化するらしい。
反省点
- 煮込みの最中にターゲットの10Lを大幅に下回ったので水を追加。最終的に1.25Lほど追加した。というかこのレシピは煮込みのときに蒸発する水を考慮してるのか?
- 結果としてマッシング効率は約53%となった。さすがに低すぎる。
だが最終的なアルコール度数は悪くなかったのが意外。なお本家は5.6%である - 煮込んで火を止めてから20分後にカスケードホップを追加してさらに20分置くのがレシピ通りだが、完成したビールは思ったよりホップの香りが感じられないので最後の20分置く工程は無くそうと思う。
- 一次発酵中のうちの数日間、理想的な温度より5°C以上高くなってしまった。
次回からは断熱シートを巻いてみる。 - 一次発酵後はサイフォンで上から若ビールを汲み上げるという方法を採ったが、澱がたくさん浮いており悪戦苦闘した。冷やすと沈殿するとのこと。
そもそも澱ってのは最初から沈んでると思ってたがな。
強制カーボネーションしている分がそろそろ完了するので、飲んだ感想は追記したいと思う。
とりあえず既に分かるのはイーストの匂いがするってこと。ヴァ-。
ではでは。